こんにちは。
京都はさみ職人、オオタトシカズです。

ハサミを通じてつながったご縁に、心から感謝申し上げます。

2002年秋。
理美容ハサミの専門店として独立しました。
はさみ研ぎ専門の小さな店からのスタートです。

それからというもの、
数えきれないほどの理美容師の方々と出会い、
ハサミの持つ力、そしてその善し悪しについて学ばせていただきました。

ハサミを研いでいると、
時折、息をのむほど素晴らしい一丁に出会うことがあります。

それは、まるで時を超えて私の手に語りかけるかのよう。

作り手の想いが宿り、
使い手の手の延長として生き続けているハサミです。

作り手が
どんな場面で、
どのように使われるのかを考え作られた一丁です。

（そんなハサミは、本当にいい仕事をしてくれます！）

しかし、
その一方で、ただの「モノ」として生まれたハサミも存在します。

（コスト優先で作られ、何の魂も宿っていないものです！）

そんな話をよくお客様をしています。

あるとき、
「あなたがハサミを作ればいい。作りなさい！」

そう背中を押してくださる声を頂きました。

そして、決意しました。

「よく切れる」の、その先を目指そうと。

切れるのは、当然。
その先にあるのは・・・。

自分の手と一体化したような感覚。
ストレスゼロの、まるで空気のような存在感。

「気づけば手が勝手に動き、
その動きを上から眺めているような感覚」

それこそが、私の考える"FLOW（フロー）"

狙った通りに切れる。
仕上がりが美しく、心が躍る。

切ることが楽しくなり、
その楽しさが、お客様の笑顔につながる。

やがて、それが単なる「仕事」ではなく、
「使命」へと変わる。

そんなハサミを目指し作ることこそ、私の使命だと確信しました。

（言い過ぎですかね・・・）

ただ、目標は高く、目指すところは大きく！です。

はさみ職人として大切にしていることがあります。

それは――

鋼に命を吹き込むこと。
ただの道具を作るのではなく、一人前の「相棒」を育て上げる。

実は、
鋼にも個性があります。
素直な子、ひねくれた子、芯の強い子。

一本一本の個性を見極め、その個性を生かす仕事を心掛けています。

だからこそ、お客様にお渡しする瞬間は、
まるで娘を嫁に出すような気持ちになります。

（娘はいませんが…笑）

嬉しいけれど、寂しい。
そんな不思議な感覚です。

でも、ハサミも人と同じ。
疲れたり、調子を崩したりすることもあるでしょう。

そんな時は、ぜひ里帰りさせてください。

ダイヤモンドの砥石で骨格矯正、
ダイヤモンドペーストでエステ、
最後は天然砥石オイルのマッサージでリフレッシュ！

笑顔を満タンにして、お返しします。

ハサミ選びとは、
あなたの理美容師人生を共に歩む「相棒選び」。

（これは言い過ぎではないと思います）

晴れの日もあれば、雨の日もある。
駆け出しの時も、一人前になった時も。

共に汗を流し、雨に打たれ、
喜び、涙しながら歩んでいく。

そんな相棒との出会いは、
人生において、かけがえのないものだと思います。

もし、その相棒として、
私のハサミを選んでいただけるなら、
職人として、これほどの幸せはありません。

あなたの理美容師人生が、
最高の相棒とともに、実り多きものになりますように。

京都の山のふもとの神社で、
心を込めて祈っています。

桜のつぼみがふっくらしてきた日に
京都はさみ職人　オオタトシカズ